性犯罪に関する刑法の大幅改正は明治40年の制定以来、約110年ぶりのことです。
あちこちのニュースで目にされているかと思いますが
何がどう変わったのでしょうか。
強姦罪の名称無くなる
「強制性交等罪」に名称が変わって内容が拡大されました。
対象は男性を含め、罰則は最低5年以上の懲役に延びました。
おもちゃや異物、指などを挿れる触るなどは以前と同様にわいせつの罪になり強制性交等罪とは別になります。
親による性犯罪は暴行や脅迫が無くても処罰
「監護者わいせつ罪」と「監護者性交等罪」を設けて家庭内の18歳未満への性的虐待を取り締まる。
教師、塾や習い事の指導者は対象にはならない。
告訴しなくても罪を問える
告訴がなければ公訴を提起出来なかった親告罪を廃止
強盗強姦罪との差を無くす
強盗と強姦の両方の罪を犯した時、犯行の順番で刑罰の差があったのを解消
強盗が先→無期か7年以上
強姦が先→5年以上30年以下
変な言い方ですが、どうせ強盗するなら強姦してからのほうが罪が軽くなるという状態が続いていました
集団強姦罪を無くす
2人以上の複数人で強姦した場合、懲役4年以上とする刑罰規定が削除された
複数人は前から非親告罪になっていたが単独でも複数人でも親告罪では無くなり
刑罰も重くなったので分ける必要は亡くなったという判断でしょうか。
改正後 | 改正前 | |
罪の名称 | 強制性交等罪 | 強姦罪 |
対象の行為 | セックス、アナル、フェラも対象(性交、肛門性交又は口腔性交) | セックスのみが対象(姦淫) |
被害者の対象 | 男性も女性も対象 | 女性のみが対象 |
罰則 | 5年以上の懲役 | 3年以上の懲役 |
親の性的虐待 | 暴力や脅迫が無くても処罰 | 暴行や脅迫の証拠が必要 |
起訴について | 非親告罪 | 親告罪で被害者から告訴が必要 |
強盗強姦罪 | 強盗・強制性交罪を新設 順番に関わらず 無期以上7年以上の懲役 |
強盗が先の罰則 無期懲役か7年以上の懲役 強姦が先の罰則 5年以上30年以下の懲役 |
集団強姦罪 | 廃止 | 2人以上で強姦した場合に懲役4年以上 |
親告罪が無くなったので、単独犯による強制わいせつ罪、強姦罪は被害者がセカンドレイプ並みに思い悩んで
告訴して裁判をするという手続きは無くなります。
「望んでいないのに捜査や起訴が行われないか」というプライバシーを気にした声もあるようですが
外野がどうこういうよりも本当の被害者がどう思うかですね。
他の親告罪
・被害者に不利益が生じるおそれのある犯罪
未成年者略取・誘拐罪、わいせつ目的・結婚目的略取・誘拐罪等
名誉毀損罪・侮辱罪
信書開封罪・秘密漏示罪
・罪責が比較的軽微であり、または当事者相互での解決を計るべき犯罪
過失傷害罪
私用文書等毀棄罪・器物損壊罪・信書隠匿罪
・親族間の問題のため、介入に抑制的であるべき犯罪
親族間の窃盗罪・不動産侵奪罪
親族間の詐欺罪・恐喝罪等
親族間の横領罪
・そのほか行政的な理由など
著作権侵害による著作権違反の罪
各種税法違反の罪