ポール・トーマス・アンダーソン監督最新作にして、マリファナ中毒ヒッピー探偵が愛の事件を追う映画、『インヒアレント・ヴァイス』の大ヒットを記念して、"探偵座談会"を緊急実施!
わがガルエージェンシーの探偵のインタビューが満載
■映画の感想~型破りだけな探偵かと思えば、意外にしっかり仕事している――
高橋久美子(千葉柏・栃木第一):
この『インヒアレント・ヴァイス』を探偵の映画、という視点で観ると、主人公の"ドック"が依頼者と一緒に解決に向かっていくスタンスは変わらないなと感じました。探偵をしている人は、依頼者が喜ぶことが一番うれしいはずなので、皆共感すると思います。
濱川卓(新宿南・池袋駅前・新宿校):
元カノが来る冒頭のシーンで、彼女を送り出す時に誰かが監視してるんじゃないかと確認する行為は、僕らと似ているなと思いました。目の動きで周りを見ることか僕らもよくしていますので。早歩きやサッと隠れたりする行動も一緒ですね。
吉田容之(横浜駅前・千葉駅前):
たとえば家出人を探し出して、自宅まで送り届けるということもよくあります。最後まで見届けることは業務上あるので、共感しましたよ。
高木俊介(東京上野):
探偵目線で観ると"ドック"は型破りっぽい探偵かと思えば、意外とそれだけじゃない。人間関係をひとつひとつ浮き彫りにしているので、きっちり描いている映画でしたね。
樋口恵里(西神奈川):
日本の探偵とアメリカの探偵という視点で観た場合、たとえばレイモンド・チャンドラーの「ロング・グッドバイ」の探偵も、友だちを助けるために事件を解明しますよね。この映画も元カノを助けるために解明していくけれど、この感じが日本の探偵モノと違うかなと思いました。お話として面白くしていくことが、アメリカは上手ですよね。
■型破りな探偵エピソード~組織に潜入して会社や社員を調べ上げることはある――
陸川宣治(埼玉)
昔は乱暴なことをする探偵はいたみたいで、僕もちょっと経験があります(笑)。自殺するというビデオレターを残して消えた人がいて、警察も介入してホテルで見つけましたが、その人の車に練炭があったので、逃げられたらまずいということでタイヤを無理矢理外してしまった(笑)。後で考えれば、空気を抜けばよかっただけですが(笑)。
吉田容之(横浜駅前・千葉駅前)
会社のトップの依頼などを受けて、とある会社に社員やバイトとして入って、社員の実態を潜入して探ることもあります。これはスパイではなく、従業員を調べる目的ですね。これは違法ではないです。奥さんが風俗で働いているか調査することもありますね。
濱川卓(新宿南)
風俗などの狭い店内などの場所で、映像を撮ることが難しいです。映像が証拠になるので、仕込みカメラなども使いますよ。論より証拠ですからね。そもそも探偵の仕事は早朝仕事とか少なくないので、けっこうハード。そういう意味では"常識外"ですかね。
浦田一夫(渋谷)
我々も浮気調査は多いけれど、でも、この映画の主人公みたいに、知り合いの依頼は受けないかな。だいたい、彼はいくらもらっているの(笑)?
■探偵業の醍醐味~シビアな仕事だが、警察を動かして正義を実現することができる――
柿沼信之(東京中野):
警察の場合、一般に事件がないと動けないけれど、我々探偵は、たとえばストーカーの証拠を集めて、それを元に警察を動かすことができる。そうすることで、被害者が減る。だから、こんなにいい仕事はないなと思っています。
濱川卓(新宿南):
柿沼さんのように、元警察官で探偵に転身する人は多いですよ。警察は民事不介入ですが、探偵は証拠を見つけて動けますからね。そもそも警察は考え方や体制が軍隊みたいで組織的ですが、それに比べれば探偵は自由が多い。
陸川宣治(埼玉):
結構シビアな仕事ではありますが、たいがいの依頼者は、ギリギリで困って依頼してくるわけです。それを達成させてあげた時、やっぱりうれしくなりますよね。
濱川卓(新宿南):
それこそこの映画を観れば、探偵は親身になってくれるということを感じてもらえるはず。探偵をしている僕たち自身も太鼓判を押しているので、そういう視点でも観てほしいですね。
(AOL news)